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長野市立長野中学校

デジタル教科書で
コミュニケーションに
強い英語力をつける

長野県長野市立長野中学校は市立長野高等学校との中高一貫校で、6年を通じて体系的な教育が行われています。長野中学校では2020年度より英語の学習者用デジタル教科書+教材(以下「デジタル教科書」という)を導入し、コミュニケーション能力の育成を重視した授業を行っています。

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変化する英語教育

2021年度より中学校の新しい学習指導要領が実施され、英語は「聞くこと」、「読むこと」、「話すこと[やり取り]」、「話すこと[発表]」、「書くこと」の4技能5領域で目標が設定され、よりコミュニケーション能力の育成を重視した言語活動が求められています。GIGAスクール構想により1人1台のPCが整備され、英語のデジタル教科書を導入している同校ではどのような授業が行われているのでしょうか。

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デジタル教科書を中心に活発な意見交換が行われている

中学2年生:日記を書いて意見交換

2年生の教室では、英語科の栁澤恵理子先生が、Unit1「Hajin’s Diary」で、英語で日記を書く授業を行なっています。この日は前回の授業で書き出したメモをもとに、教科書の日記を参考にしながらゴールデンウィークの思い出を英語で表現しました。

書き込みをしたデジタル教科書で振り返り

授業は教科書をペアで読み合うことからスタート。デジタル教科書には、すでに線を引いたり「ふせん」機能で書き込みがしてあります。デジタル教科書は書いたり消したりすることが簡単にできるので、気軽にメモを残すことができるのも特長です。ふせんに学習した内容を書き込み、ノート感覚で利用している生徒もいます。

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デジタル教科書を使って本文を読み合う
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同じ活動でも線の引き方やメモに個性が出る

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デジタル教科書のふせん機能でメモを残せる

インターネット上の辞書は積極的に利用

教科書に書いてある日記の特徴を確認してから、さっそく各自の日記を書き始めました。生徒は教科書本文の表現を参考にしたり、オンライン辞書で単語を調べたりしながら、ワークシートに日記を書き進めていきます。自分で書いた英文が自然な日本語になるかどうかを繰り返し翻訳ツールで試している姿も。便利なツールは積極的に利用しています。

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デジタル教科書を中心に活発な意見交換が行われている

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PCで単語を調べたり教科書の表現を確認したりしながら書き進める

情報共有ツールで日記を投稿

書き終えた生徒から順次、自分の日記を情報共有ツールのMicrosoft Teamsに投稿します。手書きの英文をPCでタイプして投稿する手順は慣れたものでスムーズです。Teams上の学年グループには、すでに他のクラスの日記も投稿されているため、生徒たちは熱心に他の生徒の日記を読んでいます。「一瞬で全員の投稿を見ることができるので、共有の時間が本当に短縮されました。以前ならば、いったんワークシートを回収してプリントを作成する必要がありましたから」と栁澤先生。

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Teamsに投稿して瞬時に共有。各自のPCで読む

伝えることが中心の学習活動

最後にグループでの意見交換をして栁澤先生は何人かに感想を聞きました。出てくる感想は「○○さんが旅行に行った話がうらやましかった」など日記の内容についてのものばかり。単語の使い方や文法など英文の正確性を評価し合うのではなく、日記の内容を理解し楽しんでいる様子が伝わってきました。

中学3年生:ストーリーを楽しみ繰り返し話す

3年生の教室では、英語科の丸山拓磨先生が、声に出して読んだり自分の考えを話したりと活発な授業を行っています。この日は「話すこと」「聞くこと」活動を繰り返し、Unit2「Our School Trip」のPart1の内容理解を深めました。

実写ドラマでまず全体を把握

Unit2の学習を始めた前回の授業では、デジタル教科書に収録されている「実写ドラマ」を見て、Unit2全体の内容を把握しました。広島への修学旅行をテーマに、ほのかに恋を予感させるストーリーで、生徒たちは大いに盛り上がった様子。丸山先生はその空気をとらえPart1の学習に引き込んでいきます。

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英語科 丸山拓磨先生

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デジタル教科書には実写ドラマやアニメが収録されている。字幕のあり/なしや再生スピードの設定などができる

繰り返し発声する

本文をシャドーイングで練習します。先生がデジタル教科書に収録されている音声を流し、生徒は追いかけるように真似をして発声。音声は再生スピードも調整できるので、最初は少し遅い設定ではじめ、最後には通常のスピードへ。ネイティブの通常スピードは、かなり速く感じられ、聞き取りづらいものですが、どこが聞き取れなかったのかを確認しながら何度も繰り返し練習します。

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シャドーイングはペアで行い交代でチェックし合う

興味を手がかりに本文を読み込む

次に丸山先生は、「広島」「青春」と2つのキーワードを設定。デジタル教科書の本文に、それぞれに関係する箇所を色分けして線を引き、ふせんで自由な感想を書き込むように指示しました。生徒はストーリーに入り込んで熱心に読んでいる様子です。

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グループでの意見交換を交えて進行

ふせんの部分はスクリーンショットをとってTeamsで共有。登場人物のセリフや行動に関する生徒たちの鋭い指摘を、丸山先生は楽しく紹介します。Part1に限らずPart3まで一気に読み込んでコメントしている生徒も。「デジタル教科書は実写ドラマなどで一気に内容を把握できて、Part1から順番に進めるという従来の授業の形を崩すこともできますね。紙の教科書ではできなかったと思います」と丸山先生は振り返ります。

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共有された生徒のデジタル教科書画面。ふせん機能で感想が書き込まれている

音声で聞いたことを捉え自分の言葉で伝える

最後に、Part1のリスニング問題を利用し、登場人物同士の電話の会話を聞いて内容を捉える活動をしました。各自ヘッドフォンをつけてメモをとりながら音声を繰り返し聞きます。デジタル教科書ではリスニングもスピード調整ができ、再生位置を調整しながら何度でも聞き直すことができます。十分に聞く時間をとったあと、ペアになってわかったことを英語で説明し合いました。英語だからと気負う様子はなく、登場人物の人間関係を想像しながら楽しそうに話し合う様子が印象的でした。

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デジタル教科書の音声は自分のペースでじっくり聞くことができる

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わかったことを積極的に声に出して伝える

授業を振り返って

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英語科 栁澤恵理子先生(左)と丸山拓磨先生(右)

――デジタル教科書を使う前と今とでは、どのような違いを感じていますか?

栁澤:生徒が自分で勉強できる部分がとても大きくなったと思います。自分のペースでリスニングができたり、本文のわからないところの和訳をすぐに確認できたりと。以前は、生徒によっては、よくわかっていないけれど授業が先に進んでしまうということが起きていたのではないかと思います。

丸山:以前だと、全てのことをクラス全体で確認しなければいけませんでした。例えば、単語1つでも、意味を調べて書くように指示をしたり、フラッシュカードで示したりしていました。今は、デジタル教科書で生徒が自分ですぐに確認することができますから、その分、授業では他の活動に時間を使えます。ちょうど教育課程が変わりこれまで以上に言語活動が重視され、自分のメッセージを伝えることを大事にした授業をするようになってきていますから、デジタル教科書はその変化のいい後押しになってくれています。

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栁澤恵理子先生
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丸山拓磨先生

――授業準備の方法は変わりましたか?

丸山:昔はCDプレイヤーやフラッシュカードなど授業にいろいろな教材を用意して持ち込んでいましたが、そういうものが一掃されました。ピクチャーカードや動画、音声が全てデジタル教科書に入っているというのは全く違います。

栁澤:ワークシートを作ることも減りました。例えばデジタル教科書のリスニング素材を聞いてそのままペアやグループで話をするなど、教科書にある活動を展開しやすくなったと感じています。以前だと、そのような活動のためにモデル文のワークシートを用意していました。

丸山:グループやペアで話すような活動を本当に気軽にできるようになりました。準備にかける時間は半分どころではなく圧倒的に減っています。

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和訳の表示/非表示を切り替えたり、文字をハイライトしながら音声を聞くことができる
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新出単語の意味を簡単に確認でき、音声も聞くことができる

言語活動の環境づくりに最適

――生徒の皆さんが文法の正しさだけにこだわるのではなく、話したいことを話そうとしているのが印象的です。

丸山:デジタル教科書になって、生徒たちが内容に親しみをもって楽しみながら取り組んでいる感じがします。特に実写ドラマの動画は魅力的です。生徒が話の内容にのめり込んで、気持ちが引き寄せられて、自分の表現が出てきやすくなっていると感じています。

栁澤:たしかに今の生徒達が共感できそうな心情が出てきますね。

丸山:相手意識をもって自分の伝えたいことを届けるという活動をしたいので、文法が間違っていても指摘しないこともあります。正しくなければいけないという気持ちは、書いたり話したりする気持ちをげんなりさせてしまうと思います。文法をおさえて正確性を求めるというのはまた別の日にやればいいと考えています。

栁澤:そうですね。今日の授業でも、生徒が書いた日記にはたくさん間違った文章もありましたが、絶対に正しいものを書かなければいけないというふうに、完璧にしなくてもいいと思っています。まず投稿してみんなで共有し、それをもとに、次回は全体に注目させたい表現や、みんなが間違いやすい表現を取り上げて確認する予定です。

聞く力を育てるには必須の道具

――音声教材の効果はいかがですか?

栁澤:CDで全体に流すやり方だと、1回か2回で終わらせてしまっていましたが、デジタル教科書は生徒が自分で聞いて再生を途中で止めたり戻ったりできるので、自分がわかるまでできるというのはモチベーションにもなり理解も深まると思います。

丸山:スピードも調整できて、自分に適した聞き方ができるので、個別最適な学習ができることがとても良いところです。徐々に自分が上達していく感じが得られると思います。今は入試のリスニングのレベルが上がっていて、スピードも速くなっています。今求められている聞く力をつけるには、これまでのCDと紙の教科書のやり方では難しく、おそらくデジタル教科書がないと対応できないのではないかと思います。

デジタル教科書を使用した授業について話す先生方は、とても生き生きとしていて、紙の教科書だけの時代には戻れないという様子でした。豊かな言語活動を行い英語の技能を育むことが重視される今、デジタル教科書の活用が大きな力になるのはないでしょうか。

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